
アイユーコンサルティング グループ
岩永 悠様
2013年創業。関東から九州まで11拠点を構え、総勢約150名(うち税理士27名 ※会計士含む)のスタッフが中小企業や資産家の各種支援に携わる。 ※2024年9月現在
- 業種 コンサルティング
- 所在地 関東圏
- 従業員数 101名以上
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導入サービス
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拠点が全国へ広がり、トップダウン卒業を決意
2013年に創業したアイユーコンサルティンググループは、私の個人事務所から出来た法人団体ということもあり、何をするにも私の即断即決でした。
創業11年で15億円の売り上げを達成し、税理士法人を核としたコンサルティングファームとしては悪くない成績。
しかし年に1.2か所のペースで全国に拠点が増えていく中で、徐々に私の目が行き届かない部分も出てきました。
幹部も経営に参画してもらおうと決意した決定的なきっかけは、Legaseedさんで開催されていた「社員主導型研修 TRUST」。幹部数名と参加したところ、最終日に幹部から「自分達も決定権を持ちたい」と申し出があったんです。
全国に広がる拠点の運営は、究極私1人で回って監督することもできましたが、「早くいきたいなら1人でいけ遠くへいきたいならみんなでいけ」ということわざになぞらえる通り、周りの力を借りないと成長が頭打ちしてしまう。
ここは幹部を信じたい、そう思いました。
現在は私以外の幹部で構成される「事前幹部会」が毎月開かれていて、組織運営をはじめとした様々な物事が話し合われています。
幹部からは「岩永さんはNOと言わないでください。差し戻しは認めます」と言われていて…私に否決権はないんです(笑)。
現場を見ている拠点長が自ら運営方法を決定し、より柔軟な体制が敷けるようになったことで、売上も直近1年で約5億円増と早々に効果を感じています。 -
基準があるから、短期間でも成果が上がる
移譲がうまく行っている訳はシンプルで、自社としての判断軸を明確にした「土台」があるからではないでしょうか。
具体的にいうと、定量・定性面で目指すべき方向を定めた経営計画手帳が存在し、毎年少しずつ言葉のニュアンスを調整するなど、改良を重ねながら社内浸透を図っているんです。
例えば毎月月初に行っている社内MTGでMVVC(Mission,Vision,Value,Culture)の読み合わせを行ったり、各拠点単位では毎週COMPASS(コンパス)と呼ばれる「経営計画手帳」の読み合わせや、行動指針に絡めたスピーチタイムなども設けています。
またLegaseedさんの研修もたくさん活用して、とにかく社内の言語・思想を一致させています。
これはどの業界にも言えることですが、急に組織の総数を増やすと自ずと納品の質は下がってしまうもの。
ただ最高品質が難しくても、自社で定めた高品質を安定的に供給する—そこに組織の利点が詰まっていると思います。
逆にその「基準」を外すとお客様に選ばれなくなってしまうので、 このあたりはグループ全体で徹底していますね。 -
「手に職」の業態が組織力をつけるには
私たちのような士業や、建築、美容等々、「手に職」をつける仕事は、 組織に属さずとも1人でもやって行けます。
一般企業と比較し組織作りへの関心や、愛社精神が生まれにくい業態とも言えますが、組織力向上のため私は常に2つのことを訴えています。
1つ目は、キャリア形成について。
「手に職」は結局1人分の力であり、 限りがある。
より幅広い業務を経験したり、最終的に年収UPを望むのであれば、 組織を動かす力を得ることが必須だと伝えています。
2つ目は、 組織でしか成しえない社会貢献について。
当たり前ですが1人でできることをやり続けるより、何百人の力を結束して生み出すサービスの方が、社会的な付加価値が大きい。 士業においてこうした理念共有型の組織は少ないですが、結局は皆が同じ想いを持って働いているチームが強いなと節々感じているので、伝えるようにしています。こうして権利(報酬や経験)と義務(成果・責任)を理解し、1人でやるより皆でやった方が面白そうと共感してくれたメンバーにはチャンスを与えています。
反対に、乗り気でない人を「能力が高いから」と幹部に据えても、本人・組織は幸せにならないと思うんです。 -
現状を乗り切るだけでなく、未来まで思考する幹部になってほしい
今当社に足りていないなと思うことは「持続的成長」の視点。
各拠点をうまく回すという単発的な成果は出ていますが、まだ見ぬお客様に自ら会いにいく・既存のお客様でまだご支援できていない領域をサポートする…というような未知なる可能性へ積極的にアタックする姿勢が、これから求められます。
「手に職」に安住してしまうと、つい仕事を待つ姿勢に陥りがち。
組織そして一個人が成長していくためにも現状の延長線を辿るのではなく、理想から逆算して道をつくる力をつけたいのです。
メンバーには「ぜひ挑戦し失敗してくれ」と言っています(笑)。
私自身が一から設立した法人ゆえ、何かあれば私がどうにかするという一見トップダウンなスタンスが、ある意味心を軽くしていると思います。今後も代表としての責任感、そして社員を信じる心、両面をうまくバランスを取りながら、 組織を益々発展させていきたいです。